顧問先から「大阪・関西万博の入場券を購入しました。税務上、どのように取り扱えばいいですか?」
とのご質問を受けました。
2025年4月13日から10月13日までの184日間、大阪市の夢洲で開催される「大阪・関西万博」
国内外から多くの人が訪れる一大イベントですね。
SDGsへの貢献などをアピールする手段として、企業が入場券を購入するケースも増えているようです。
今回は、万博入場券の購入費用の税務上の取扱いについて説明します。
費用科目
【販売促進費・広告宣伝費】
企業が販売促進等の目的で当該入場券のみを取引先等に交付する場合、当該入場券の購入費用は、「交際費」に該当せず「販売促進費」や「広告宣伝費」として処理します。
これは、企業が入場券の購入という形で大阪・関西万博に参加・貢献しているとの企業イメージを与えることを意図しているものであって、企業イメージの向上という販売促進や広告宣伝等の一環と考えられるからです。
なお、下請先若しくは孫請先又はグループ会社の取引先などに広く入場券を交付する場合も、その購入費用は販売促進費や広告宣伝費等に該当するものと考えられます。
【福利厚生費】
企業等が従業員の慰安やレクリエーション等を目的として、当該入場券を従業員等に交付する場合、その購入費用は「福利厚生費」として処理することができます。
従業員の家族を含めて実施した場合も同様です。
ただし、福利厚生費として計上するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 入場券を希望する全従業員を対象に交付すること
- 従業員又はその家族が使用すること(転売・譲渡の禁止)
- 従業員が使用したことについて事後的に報告をさせること
- 交付を希望しない従業員に対し、入場券の代わりに金銭を支給しないこと
損金算入のタイミング
【販売促進費・広告宣伝費】
取引先に入場券を交付した時点で損金算入します。
なお、大阪・関西万博の開催前に入場券を交付した場合でも損金算入することができます。
【福利厚生費】
原則、入場券を使用した時点で損金算入します。
例外として、従業員に交付した時点で損金算入することも可能です。
消費税の取扱い
【販売促進費・広告宣伝費】
取引先等に交付する場合の入場券の購入費用は、課税仕入れとすることができません。
【福利厚生費】
入場券の購入時点や従業員等に交付した時点では課税仕入れにはなりませんが、従業員等が実際に使用した段階で課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができます。
まとめ
以上、大阪・関西万博の入場券の購入費用は、目的により税務上の取扱いが大きく異なるため注意が必要です。
既に入場券を購入した方やこれから購入を検討している方は、当記事を参考にしていただければ幸いです。
(税理士 平瀬靖典)